生活介護の利用を考えるとき、「日中は何をして過ごすのだろう」「本人が興味を持てる活動はあるだろう」と気になる方もいるでしょう。
活動の一覧を見ても、参加の仕方や職員の手助けまでは分かりにくいものです。
私が勤務する生活介護事業所には、ものづくりやパソコンを使う活動、外出などがあります。
同じ作業を続ける方もいれば、複数の活動を組み合わせる方や、活動の場にいても作業に取り組まない方もいます。
生活介護の基本と、勤務先で見ている活動・過ごし方を紹介します。
事業所によって活動や支援の内容は異なります。
具体例を参考に、本人に合う過ごし方ができるか見学で確かめてみてください。
生活介護では何をする?具体的な活動の例
私の勤務先には、手を使う作業やものづくりのほか、パソコンを使う活動、課題や練習、外出などがあります。
実際に行っている活動をいくつか紹介します。
生活介護は活動と日常生活の支援を受けるサービス
生活介護は、常時介護を必要とする障害のある方に、主に昼間、食事や排せつなどの介護や日常生活の支援を行う障害福祉サービスです。
ものづくりなどの創作的活動や、生産活動の機会も提供します。
利用には、障害支援区分などの条件があります。
本人が対象になるかは、市区町村の障害福祉担当窓口へ確認してください。
活動内容を見るときは、何をするかと一緒に、どのような手助けを受けながら過ごせるかにも目を向けてみてください。
私の勤務先でも、作業の確認や安全への配慮を行い、介助が必要な利用者さんには、その都度必要な介助をしています。
活動が用意されていても、それだけでは本人が取り組めるかどうかは分かりません。
本人が行う部分と職員が手伝う部分を聞くと、実際の様子を想像しやすくなります。
制度の全体像については、障害福祉サービスの種類・対象者・相談先を解説した記事も参考にしてください。
作業・ものづくり・パソコンを使う活動
勤務先で行っている作業には、次のようなものがあります。
- 牛乳パックを使った紙漉き
- 空き缶の洗浄と缶潰し
- ミシンを使った小物づくり
- パソコンでの献立表や施設内新聞の作成
勤務先の紙漉きでは、紙をミキサーにかける工程があります。
小物づくりでは、販売する商品を作ることもあります。
パソコンを使う活動では、予定されている献立を表にまとめたり、施設内の新聞を作ったりしています。
同じパソコンの活動でも、文字入力の練習と、実際に使うものを作る作業では内容が違います。
見学で気になる活動があれば、完成品だけでなく、途中の工程も見せてもらえるか聞いてみてください。
本人が興味を持ちそうな部分や、手助けが必要になりそうな部分を考える材料になります。
課題や練習・外出・体を動かす活動
キャップを色ごとに分けたり、割りばしを袋に入れたりする課題や、タイピングの練習もあります。
ここでは、勤務先で行っている内容を「課題」「練習」として紹介しています。
外出では、車でドライブに出て飲料を買ったり、歩いてコンビニへ行き、飲料を購入した後に別の活動をしたりしています。
室内では、動画を見ながら踊る活動もあります。
外出や体を動かすことに興味があれば、参加の仕方や必要な手助けについて聞いてみるとよいでしょう。
どのくらいの頻度で行われているかも、知っておきたい点です。
紹介した活動は、私の勤務先での例です。
検討している事業所で同じ活動を行っているかは、個別に確かめてください。
同じ生活介護でも活動への取り組み方は一人ひとり違う
私が勤務する事業所では、全員が同じ活動を順番に行っているわけではありません。
同じ作業を続ける方も、複数の活動に取り組む方もいます。
活動を提案してもらい、継続したり組み合わせたりする
勤務先では、基本的に職員が利用者さんに合わせて活動を提案しています。
同じ作業を継続することもあれば、缶を洗った後に割りばしを袋に入れる課題に取り組むなど、活動を組み合わせることもあります。
ただ、同じ作業を続けているという様子だけで、本人がその活動を好きだとは限りません。
見学の際には、事業所が本人の希望や適性をどのように確認し、活動を提案しているのかを聞いてみるとよいでしょう。
好きな作業を楽しんでいる様子が分かる方もいます。
一方、表情や反応から気持ちを読み取りにくく、楽しいのかどうか分からない場合もあります。
本人の希望を言葉で確かめにくい場合は、事業所が希望や反応をどのように捉えているかを聞いてみてください。
見学中の一場面だけで判断せず、普段の様子も尋ねてみるとよいでしょう。
別の活動を希望する場合や、活動に取り組まない時間もある
勤務先では、本人が別の活動を希望し、取り組める内容であれば、変更することもあります。
見学では、提案された活動から変更したい場合に、どのように相談できるかを聞いておくとよいでしょう。
活動の場にいても、会話をして作業に取り組まないことがあります。
椅子に座って過ごす方や、歩き回る方もおり、その場にいることと作業をしていることは同じではありません。
行動の予測が難しく、職員が付き添う場面もあります。
勤務先では、声をかけても取り組まないときに、時間を置いて再度声をかけることがあります。
それでも取り組まなければ、その活動への働きかけを終える場合もあります。
その後は椅子に座って過ごすことが多く、職員が見守っています。
これは、私が勤務先で見ている対応の一例です。
取り組まない理由や、働きかけを終える判断までは確認できておらず、この対応がすべての人に合うとは言えません。
見学では、活動に取り組まないときの過ごし方も聞いてみてください。
過ごす場所や職員との関わり方が分かると、利用後の一日をより具体的に考えられます。
活動中の職員の手助けと工賃について

活動名だけでは、職員がどこを手伝い、本人がどこを行うのかまでは分かりません。
勤務先で見ている手助けと、活動に関わる工賃について紹介します。
作業の確認や安全への配慮・必要な介助を受ける
缶の洗浄では、きれいに洗えているかを職員が確認しています。
缶潰しでは危険がないように見守り、介助が必要な利用者さんには、その都度必要な介助をしています。
紙漉きに使う紙をミキサーにかける工程では、100カウントまで動かします。
カウントが終わると、利用者さんがスイッチを止め、中身を取り出しています。
これは、私が勤務する生活介護事業所で見ている工程の一例です。
工程の中には、職員の確認や手助けが必要な部分があります。
本人がすべてを一人で行うと想定せず、どのような関わりを受けられるかを聞いてみてください。
販売する小物づくりでは、納期に合わせるために職員も制作を担うことがあります。
職員が商品を作ることと、利用者さんへの介助は別です。
見学で職員が作業している場合も、何を担当しているかを聞くと、活動の進め方が分かります。
工賃につながる活動と支払い方法は事業所に確認する
工賃は、生産活動に取り組む利用者さんに支払われるお金です。
指定生活介護の基準では、生産活動の事業収入から必要な経費を差し引いた額に相当する金額を、生産活動に取り組む人へ工賃として支払うことが定められています。
出典:厚生労働省掲載「指定障害福祉サービス基準」第85条(工賃の支払)
私の勤務先では、売上から本人の仕事量に応じた工賃が支払われています。
ここで紹介した活動のすべてが、工賃の対象になるとは限りません。
見学では、検討している事業所へ次の点を聞いておくとよいでしょう。
- 工賃の対象になる活動はどれか
- 本人に支払う金額をどのように決めるか
- いつ、どのような方法で支払われるか
本人が取り組みたい活動が工賃の対象になるか、参加状況によって支払いがどう変わるかも、確かめてみてください。
本人に合う過ごし方を生活介護の見学で確認しよう
見学では、興味のある活動を見ることに加え、本人の希望をどう確かめ、必要な手助けをどう受けられるかを聞いてみてください。
ここまで紹介した経験を踏まえ、質問を整理します。
活動の決め方・変更・参加しない場合について聞く
活動の名前を聞いた後は、本人がどのように取り組むことになるのかを確かめます。
次の質問から、気になるものを選んで使ってください。
| 確認したいこと | 質問例 |
|---|---|
| 活動の提案 | どのような希望や様子を確認して、活動を提案していますか |
| 継続と組み合わせ | 同じ活動を続ける場合と、複数の活動を組み合わせる場合がありますか |
| 活動の変更 | 別の活動を希望したときは、どのように相談できますか |
| 取り組まない時間 | 活動に取り組まないときは、どこで、どのように過ごしますか |
| 希望の確認 | 希望を言葉で伝えにくい場合は、どのように確かめていますか |
すべてを一度に聞く必要はありません。
本人が興味を持っていることや、これまで取り組みにくかった場面から質問を選ぶと、話を具体的に進められます。
参加しない時間について聞くことも、利用後の過ごし方を知るための質問です。
活動ができるかどうかだけでなく、その時間をどう過ごせるかまで聞いてみてください。
見学中に見られなかった活動が気になる場合は、普段どのように行っているかを尋ねる方法もあります。
その日に見た様子に加えて、日常の過ごし方を聞くと、判断する材料が増えます。
必要な手助けと工賃を確認し、本人の希望と照らし合わせる
「どのくらい支援してもらえますか」という質問だけでは、知りたい場面が伝わりにくいことがあります。
本人が一人でできること、途中で手伝いが必要なこと、そばで見ていてほしいことなどを、分かっている範囲で伝えてみてください。
活動の工程を聞きながら、必要になりそうな手助けを相談する方法もあります。
たとえば、道具を使う部分でどのような確認をするのか、途中で取り組まなくなった場合はどう関わるのか、といった聞き方です。
工賃については、対象活動と支払い方を確認します。
金額に加え、本人が取り組みたい活動との関係も聞いておきたいところです。
見学前には、次の内容を短くメモしておくと質問を選びやすくなります。
- 本人が興味を持っている活動
- 本人が別のことを希望するときの伝え方
- 活動中に必要になりそうな手助け
- 活動に取り組まないときに気になること
本人の希望がまだはっきりしていない部分は、無理に決めず、そのまま相談してもよいでしょう。
「見てみたい活動」「説明を聞きたいこと」として整理しておく方法もあります。
見学後は、気になった活動、受けられる手助け、確認しきれなかったことを分けて振り返ってみてください。
本人の反応だけでは分からない点があれば、普段の生活で見ている様子も踏まえて、事業所へ改めて質問できます。
利用の検討について相談したい場合は、相談支援専門員の役割を解説した記事も参考にしてください。
事業所の説明だけでは整理しにくかった希望や疑問を、相談する際の材料にできます。

まとめ|活動の種類だけでなく本人の過ごし方を確かめよう
生活介護には、日常生活の支援に加え、創作的活動や生産活動の機会があります。
私の勤務先でも、ものづくりやパソコンを使う活動、外出などを行っていますが、取り組み方や職員の関わり方は一人ひとり異なります。
見学では、活動の種類だけでなく、提案や変更の方法、取り組まない時間の過ごし方、必要な手助け、工賃について確かめてみてください。
本人の興味や普段の様子と照らし合わせながら、利用後の生活を考えていきましょう。

