障害福祉サービスを調べていると、「相談支援専門員」という言葉を見かけることがあります。
しかし、何をしてくれる人なのか、市区町村の窓口や相談支援事業所と何が違うのか、分かりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。
相談先が分からないままだと、家族だけで不安を抱え込んでしまうこともあります。
この記事では、相談支援専門員の役割や相談できること、相談前に整理しておきたい内容を家族向けに解説します。
読み終えるころには、誰に何を相談すればよいか考えやすくなります。
相談支援専門員とは?障害福祉サービスの相談を支える専門職

相談支援専門員とは、障害のある本人や家族から相談を受け、必要な支援や障害福祉サービスにつながるように一緒に整理する専門職です。
相談支援専門員は国家資格ではありませんが、一定の実務経験や研修を経て、相談支援に関わる専門職として配置されます。
障害福祉サービスを利用するときは、サービスの内容だけでなく、本人の生活状況や家族の支援状況なども確認しながら、今後の支援を考えていきます。
「制度の名前が分からないと相談できない」というわけではありません。
まずは、今の生活で困っていることや、これから不安に感じていることを伝えるところから相談できます。
相談支援専門員の仕事について詳しく知りたい場合は、WAM NETの相談支援専門員の説明も参考になります。
相談支援専門員は本人や家族の相談に乗る専門職
相談支援専門員は、本人だけでなく、家族からの相談にも関わることがあります。
たとえば、日中の過ごし方に不安がある、家族だけで支えるのが難しくなってきた、将来グループホームを考えたいといった悩みも、相談のきっかけになります。
介護福祉士として現場にいると、制度名を正確に知らなくても、生活上の困りごとを抱えている家族は少なくありません。
大切なのは、最初から制度を完璧に理解することではなく、本人が何に困っているのか、家族がどこまで支えているのかを整理することです。
ただし、支援を考えるときは、家族の希望だけで進めるのではなく、本人の意思や希望も大切にする必要があります。
本人がどのような暮らしを望んでいるのかも、相談の中で確認していきたい視点です。
相談支援事業所・市区町村窓口との違い
相談支援専門員と似た言葉に、相談支援事業所や市区町村の障害福祉担当窓口があります。
それぞれの違いを簡単に整理すると、次のようになります。
| 相談先 | 主な役割 | 相談する場面 |
|---|---|---|
| 市区町村の障害福祉担当窓口 | 障害福祉サービスの申請や制度の案内を行う入口 | どこに相談すればよいか分からないとき |
| 相談支援事業所 | 本人や家族が相談できる事業所 | 生活状況や必要な支援を整理したいとき |
| 相談支援専門員 | 相談支援事業所などで相談や計画作成に関わる専門職 | 本人に合う支援やサービスを一緒に考えたいとき |
表のように、相談支援事業所は相談できる場所、相談支援専門員はそこで相談や計画作成に関わる専門職です。
市区町村の障害福祉担当窓口は、障害福祉サービスの申請や制度の案内を行う行政上の入口と考えると分かりやすいでしょう。
実際の相談の流れや窓口名は、自治体によって違うことがあります。
どこに相談すればよいか分からない場合は、まず市区町村の障害福祉担当窓口に確認すると安心です。
相談先全体を整理したい場合は、障害福祉の相談先まとめも参考になります。
相談支援専門員は障害福祉サービス利用の流れに関わる
相談支援専門員は、障害福祉サービスの利用を考える場面でも関わることがあります。
障害福祉サービスを利用する際には、多くの場合、本人に合う支援やサービスを整理するために、サービス等利用計画案やサービス等利用計画が関係します。
サービス等利用計画とは、どのような支援やサービスを使うかを整理するための計画です。
本人の暮らしに必要な支援をまとめる、生活のロードマップのようなものと考えると分かりやすくなります。
厚生労働省の相談支援に関するページでも、サービス等利用計画の作成や、支給決定後の見直しであるモニタリングについて説明されています。
制度上の説明を確認したい場合は、厚生労働省の相談支援ページも参考になります。
ただし、本人や家族が作成するセルフプランなど、地域や状況によって流れが異なる場合もあります。
実際にどのような手続きが必要かは、市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援事業所で確認しましょう。
サービスを利用し始めたあとも、今の支援が本人に合っているかを確認し、必要に応じて見直すことがあります。
このように、サービスを使い始めたあとに、今の支援が本人に合っているかを定期的に確認することをモニタリングと呼びます。
障害福祉サービスの基本を先に知りたい場合は、障害福祉サービスとは?で全体像を確認しておくと理解しやすくなります。
相談支援専門員は何をしてくれる?家族が相談できること
相談支援専門員には、本人や家族の困りごと、障害福祉サービスの利用、サービス等利用計画、グループホームや将来の暮らしについて相談できます。
相談内容は、最初からきれいにまとまっていなくてもかまいません。
「何を相談したらよいか分からない」という状態でも、まずは今の困りごとを整理するところから始められます。
本人や家族の困りごとを整理する
相談支援専門員に相談するときは、生活上の困りごとを伝えることが大切です。
たとえば、日中の過ごし方が決まっていない、通院や服薬の管理を家族だけで続けるのが不安、金銭管理が難しい、外出に付き添いが必要といった内容です。
こうした困りごとは、家族の中では当たり前になっていることもあります。
しかし、支援を考えるうえでは大切な情報になります。
本人が困っていることだけでなく、できていること、安心できる環境、苦手な場面も整理できると、必要な支援を考えやすくなります。
家族が日常的に支えている内容も、相談では大切な手がかりになります。
障害福祉サービスの利用について相談できる
障害福祉サービスを利用したいと思っても、どのサービスが合うのか分からないことは珍しくありません。
生活介護、就労系サービス、居宅介護、短期入所、グループホームなど、障害福祉サービスにはさまざまな種類があります。
相談支援専門員には、本人の状況や希望を整理しながら、どのような支援が必要かを相談できます。
サービス名が分からなくても、生活の言葉で伝えて大丈夫です。
- 日中に通える場所を探したい
- 家族だけで支えるのが難しくなってきた
- 将来の住まいが不安
このような相談から始められます。
ただし、相談すれば希望するサービスを必ず利用できるわけではありません。
利用できるサービスは、本人の状況、自治体の判断、事業所の受け入れ状況などによって変わります。
サービス等利用計画の作成や見直しに関わる
障害福祉サービスを利用する際には、多くの場合、サービス等利用計画案やサービス等利用計画が関係します。
サービス等利用計画は、本人に必要な支援やサービスを整理するための計画です。
相談支援専門員は、本人や家族の話を聞きながら、この計画の作成や見直しに関わります。
サービスを使い始めたあとも、今の支援が合っているかを確認し、必要に応じて見直すことがあります。
この流れを知っておくと、相談支援専門員が単に書類を作る人ではなく、本人の暮らしを整理する役割も持っていることが分かりやすくなります。
一方で、セルフプランなどの扱いもあり、サービス等利用計画の作成や手続きの流れは、自治体や本人の状況によって違うことがあります。
分からない場合は、相談支援事業所や市区町村窓口で確認しましょう。
グループホームや将来の暮らしも相談のきっかけになる
グループホームを考え始めた段階でも、相談支援専門員に相談するきっかけになります。
今すぐ入居を決めていなくても、将来の選択肢として考えたい場合は、本人の生活状況や必要な支援を整理しておくことが大切です。
グループホームを考えるときは、入居する本人の意思も欠かせません。
本人がどのような暮らしを望んでいるのか、どのような環境なら安心できるのかを確認しておくと、相談しやすくなります。
ただし、本人の希望だけですべてが決まるわけではありません。
家族がどこまで支援できるのか、今後も同じ支援を続けられるのかという不安も、現実的な判断材料になります。
本人の希望と家族の考えにズレがある場合も、そのまま相談材料になります。
家族だけで答えを出そうとせず、相談先と一緒に整理していく視点が大切です。
グループホームの相談先を詳しく知りたい場合は、障害者グループホームの相談先は?もあわせて確認してみてください。
相談支援専門員に相談する前に家族がメモしておきたいこと

相談支援専門員に相談する前に、完璧な資料を用意する必要はありません。
ただ、本人の生活状況や家族が困っていることを少しメモしておくと、相談が進めやすくなります。
話がまとまっていなくても、今分かっていることを書き出すだけで十分です。
本人の生活状況や困っている場面
まずは、本人の生活状況や困っている場面を簡単にメモしておきましょう。
たとえば、食事や服薬の声かけ、金銭管理、通院や外出の付き添い、日中の過ごし方、対人関係の不安などです。
毎日困っていることだけでなく、時々起きる困りごとも相談の材料になります。
家族にとっては小さなことに見えても、支援を考えるうえでは大切な情報になる場合があります。
本人の希望や苦手なこと
相談では、困りごとだけでなく、本人の希望も整理しておくと役立ちます。
どのような暮らしをしたいのか、どんな場所なら落ち着けるのか、苦手な環境は何かを考えておくと、本人に合う支援を考えやすくなります。
たとえば、人が多い場所が苦手、急な予定変更に不安を感じやすい、静かな環境だと過ごしやすいといった情報です。
支援を考えるときは、できないことだけを見るのではなく、できていることや安心できる条件も大切です。
家族の不安が大きいと、どうしても困りごとに目が向きやすくなります。
それでも、本人がどう暮らしたいのかを一緒に整理する視点は持っておきたいところです。
家族が支援している内容や不安
家族が普段どこまで支援しているかも、相談時に伝えたい内容です。
通院の付き添い、服薬確認、金銭管理、食事の準備、外出の見守り、緊急時の対応など、日常的に行っている支援を書き出してみましょう。
家族がこれまで支えてきたことは、必要な支援を考えるうえで大切な情報です。
今は何とか支えられていても、今後も同じように続けられるとは限りません。
家族の年齢、仕事、体調、ほかの家族の状況によって、支え方は変わっていきます。
「今すぐ困っているわけではないけれど、将来が不安」という内容も相談のきっかけになります。
家族だけで抱え込まないことも、本人の暮らしを考えるうえで大切です。
利用を考えているサービスや将来の希望
利用を考えているサービスがあれば、決まっていない段階でもメモしておきましょう。
生活介護を考えている、就労系サービスを知りたい、短期入所を使えるか確認したい、将来グループホームを考えているといった内容です。
「まだ利用するか決めていない」と伝えても問題ありません。
むしろ、決める前に相談して整理することで、本人に合う選択肢を考えやすくなります。
将来の希望を書くときは、本人の希望と家族の考えを分けておくと相談しやすくなります。
本人は今の生活を続けたいと思っていても、家族は将来の支援に不安を感じている場合があります。
そのズレも、無理に一つの答えにまとめる必要はありません。
相談の場で整理していくための材料として、正直に伝えられるようにしておくとよいでしょう。
相談支援専門員にできること・できないこと
相談支援専門員は、本人や家族の状況を整理し、必要な支援につながるように支える専門職です。
一方で、すべてを代わりに決めたり、希望するサービス利用を必ず実現したりする存在ではありません。
できることとできないことを知っておくと、過度に期待しすぎず、現実的に相談しやすくなります。
相談支援専門員に相談できること
相談支援専門員には、生活上の困りごとや障害福祉サービスの利用について相談できます。
必要に応じて、情報提供、サービス等利用計画の作成、利用後の見直し、関係機関との連絡調整などに関わります。
たとえば、どのサービスを考えればよいか分からない、本人に合う日中活動を相談したい、将来の住まいについて整理したいといった内容です。
相談支援専門員は、本人や家族の話を聞きながら、支援の方向性を一緒に考える相談相手になります。
すべてを決めてくれるわけではないこと
相談支援専門員は、すべてを代わりに決めてくれる人ではありません。
障害福祉サービスを利用できるかどうかは、本人の状況、市区町村の判断、事業所の受け入れ状況などが関係します。
グループホームについても、相談したからといって必ず入居できるわけではありません。
空き状況、支援体制、本人の状態、事業所との相性など、複数の要素があります。
これは、相談支援専門員に相談しても意味がないということではありません。
相談支援専門員には、本人や家族の状況を整理し、必要な支援につながるように一緒に考える役割があります。
「すべてを決める人」ではなく、「相談しながら整理する相手」として捉えると分かりやすいでしょう。
地域差や事業所の空き状況で変わることもある
相談支援の進み方は、地域によって違うことがあります。
相談支援事業所の数、受け入れ状況、対応できる内容にも地域差があります。
相談支援事業所に問い合わせても、すぐに契約できない場合もあります。
また、自治体によって窓口名や手続きの流れが異なることもあります。
そのため、相談支援専門員を探すときは、市区町村の障害福祉担当窓口で、地域の相談支援事業所の一覧を確認するところから始めるとよいでしょう。
自治体によっては、指定相談支援事業所の一覧を窓口やホームページで案内している場合があります。
相談支援事業所にすぐつながれない場合も、そこで止まる必要はありません。
ほかに相談できる事業所があるか、本人や家族が計画を作成するセルフプランを含めてどのように進めればよいか、市区町村の障害福祉担当窓口で確認しましょう。
記事で一般的な流れを知ることは役立ちますが、実際に進めるときは、住んでいる市区町村の情報を確認することが大切です。
迷ったら市区町村窓口にも確認する
相談支援専門員や相談支援事業所につながれない場合は、市区町村の障害福祉担当窓口にも確認しましょう。
市区町村窓口は、障害福祉サービスの申請や相談先の確認につながる入口です。
どの相談先に連絡すればよいか分からないときも、まず問い合わせる場所として考えやすいです。
相談先を一つに決めきれない場合でも、そこで止まる必要はありません。
相談支援事業所、市区町村窓口、障害福祉サービス事業所など、それぞれ役割が違います。
迷ったときは、相談先全体を整理しながら進めていきましょう。

まとめ|相談支援専門員は家族だけで抱え込まないための相談先
相談支援専門員は、障害のある本人や家族の困りごとを整理し、必要な支援や障害福祉サービスにつながるように支える専門職です。
障害福祉サービスの利用、サービス等利用計画、グループホームや将来の暮らしについて相談するきっかけになります。
ただし、相談支援専門員がすべてを決めたり、希望するサービス利用を必ず実現したりするわけではありません。
できることとできないことを知ったうえで相談すると、現実的に進めやすくなります。
相談前に完璧な準備は必要ありません。
まずは、本人の生活状況、困っている場面、本人の希望、家族が支援している内容、将来の不安をメモしてみましょう。
本人の希望と家族の不安が一致しないこともあります。
そのズレも、家族だけで抱え込まず、相談先と一緒に整理していく材料になります。
制度名が分からなくても、生活上の困りごとから相談して大丈夫です。
相談支援専門員について理解できたら、相談先全体やグループホームの相談方法も確認しておくと安心です。
どこに相談すればよいか迷う場合は、障害福祉の相談先まとめで相談先全体を確認できます。
グループホームを考えている場合は、障害者グループホームの相談先は?で相談先や進め方を確認できます。
障害福祉サービス全体を知りたい場合は、障害福祉サービスとは?もあわせて読むと、相談前の整理がしやすくなります。
まずは、市区町村の障害福祉担当窓口で相談先を確認し、本人の生活状況や家族の不安を少しずつ整理するところから始めてみましょう。

