障害者グループホームの探し方|相談先と見つけるまでの流れ

障害者グループホームの探し方|相談先・見学・選び方

障害者グループホームを探すときは、空いているホームを手当たり次第に探すのではなく、本人に必要な生活環境や支援を整理するところから始めます。
条件が見えていないまま空室だけで決めると、入居後の生活リズムや支援内容が本人に合わない可能性があるためです。

まだ入居時期を決めていなくても、市区町村や相談支援事業所へ相談できます。
現在利用している通所先などに相談する方法もあります。
相談しながら条件を整理し、公的な事業所情報や支援者からの情報を使って候補を探しましょう。

この記事では、本人に合う条件の整理、主な相談先、相談時に伝えること、候補の探し方から見学後の流れまで順番に解説します。

障害者グループホームは空き情報より条件整理から探し始める

障害者グループホームを探す前に、本人が生活するうえで欠かせない条件を整理します。
空室があることと、本人に合うことは別だからです。

障害者グループホームは、制度上「共同生活援助」と呼ばれる障害福祉サービスです。
共同生活を行う住居で、主に夜間、相談や日常生活上の援助、必要に応じて入浴、排せつ、食事などの介護を受けながら暮らします。

対象は障害のある人です。
身体障害者は、65歳未満の人、または65歳に達する前日までに障害福祉サービスもしくはこれに準ずるサービスを利用したことがある人に限られます。

制度上のサービス内容と対象者は、厚生労働省「障害福祉サービスの内容」で確認できます。

共同生活との相性を考える

グループホームでは、居室が個室であっても、食事や入浴などの生活場面でほかの利用者や職員と関わります。
人の声や生活音、共有スペースの使い方が負担にならないかを考えておきましょう。

現在一人でできることだけでなく、環境が変わったときに困りそうなことも整理します。
本人と共同生活との相性を詳しく考えたい場合は、障害者グループホームに向いていない人は?本人に合うか考える3つの視点も参考にしてください。

必要な支援と日中の過ごし方を整理する

必要な支援は、食事や入浴といった身の回りの介助だけではありません。
服薬、金銭管理、通院、体調変化への対応、予定の確認など、日常生活のどこで支援が必要かを考えます。

日中に通所先や勤務先へ通う場合は、ホームからの移動方法も条件になります。
休日や体調不良で日中活動を休んだ日の過ごし方についても、候補となる事業所へ確認が必要です。

本人と家族が譲れない条件を決める

すべての希望を満たすホームが見つかるとは限りません。
そのため、本人の安全や生活に欠かせない条件と、相談によって調整できる条件を分けておきます。

たとえば、次のような項目です。

  • 通所先へ無理なく通える地域か
  • 夜間に必要な支援を受けられるか
  • 食事や入浴の時間が本人に合うか
  • 医療機関との連携について相談できるか
  • 毎月の費用を継続して負担できるか
  • 家族が緊急時に対応する範囲はどこまでか

本人と家族の希望が異なる場合は、どちらか一方の条件だけで候補を絞らないようにします。
本人の生活に直接関わる条件を中心に、家族が心配していることも相談先へ伝えましょう。

入居時期が決まっていなくても相談できる

グループホームへの入居を決めてから相談する必要はありません。
将来の住まいや家族による支援の継続に不安がある段階でも、相談の入口につながっておくと、必要な準備を整理しやすくなります。

「いつか利用するかもしれない」「本人に共同生活が合うか分からない」という段階から相談できます。
一度の相談で入居先を決めるのではなく、本人の状況を伝えながら、利用できる制度や地域の事業所について情報を集めていきます。

相談する前に結論を出そうとせず、現在困っていることと将来気になっていることを分けて伝えるところから始めましょう。

障害者グループホームの主な相談先

相談先によって、確認できる内容や本人との関わり方が異なります。
一か所だけですべての情報を得ようとせず、市区町村、相談支援事業所、現在の支援者を状況に応じて利用します。

市区町村の障害福祉担当窓口

制度の利用条件や申請先を確認したい場合は、市区町村の障害福祉担当窓口が相談先になります。
地域の相談支援事業所や、障害福祉サービスを利用するための一般的な手続きについて案内を受けられます。

ただし、市区町村が各ホームの最新の空室状況を常に把握しているとは限りません。
候補となるホームが決まった後の空室や受け入れ条件は、事業所にも直接確認します。

厚生労働省は、障害福祉に関する身近な相談窓口として市区町村を案内しています。
相談支援の制度上の位置づけは、厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」で確認できます。

相談支援事業所・相談支援専門員

すでに相談支援事業所を利用している場合は、担当の相談支援専門員へ住まいについて相談できます。
本人の生活状況や利用中のサービスを踏まえ、希望条件の整理や関係機関との連絡について相談できる場合があります。

計画相談支援では、障害福祉サービスの支給決定前にサービス等利用計画案を作成し、支給決定後は利用状況を確認するモニタリングなどを行います。
相談支援専門員が必ず希望地域の空室を探し、入居先を決めてくれる制度ではないため、どこまで支援を受けられるかは担当者へ確認してください。

相談支援事業所を利用していない場合は、市区町村の窓口で地域の相談先を聞く方法があります。

通所先・就労支援事業所・医療機関などの支援者

本人が利用している生活介護、就労支援、医療機関などの支援者にも、住まいについて相談できる場合があります。
普段の様子を知っている支援者であれば、本人に必要な配慮や、新しい生活で負担になりそうなことを一緒に整理しやすくなります。

地域のグループホームについて情報を持っていることもありますが、候補の紹介や空室確認まで対応できるとは限りません。
事業所探しを依頼するというより、本人の生活状況を整理する協力者として相談するとよいでしょう。

どこへ相談するか迷った場合

現在つながっている相談支援専門員がいれば、その担当者に相談します。
相談先がない場合や制度の利用方法が分からない場合は、市区町村の障害福祉担当窓口から始める方法があります。

通所先などに話しやすい支援者がいる場合は、その人に相談内容を整理してもらってから窓口へ連絡しても構いません。
本人や家族が話しやすいところを入口にし、必要に応じて次の相談先を案内してもらいましょう。

相談するときに伝えること・聞くこと

相談では「グループホームを探しています」と伝えるだけでなく、本人の生活状況や必要な支援を具体的に説明します。
空室の有無だけでなく、本人に合う候補を考えるための材料になるからです。

本人の生活状況と必要な支援を伝える

相談前に整理した条件を、現在の生活に沿って伝えます。
完璧な資料を作る必要はありませんが、次の内容が分かると相談を進めやすくなります。

  • 現在の住まいと同居している人
  • 通所先や勤務先、移動方法
  • 食事、入浴、服薬などで必要な支援
  • 夜間や体調不良時に心配なこと
  • 苦手な音、環境、予定変更
  • 本人が落ち着きやすい関わり方
  • 希望する地域や入居時期

家族が支えていることも伝えてください。
現在は家族が対応できていても、グループホームで同じ支援を受けられるとは限らないためです。

家族の不安と相談したいことを分けて伝える

家族の不安は、現在困っていることと将来心配していることに分けると伝わりやすくなります。
「夜間の対応が心配」「親が支援を続けられなくなったときに備えたい」など、具体的な生活場面で説明します。

相談時には、次の内容を聞いておきましょう。

  • 条件に合いそうな事業所を調べる方法
  • 見学を申し込む方法
  • 体験利用について相談する時期
  • 障害福祉サービスの申請先
  • 今の段階で準備できること
  • 空きがない場合の進め方

相談したその日に候補を決める必要はありません。
分からなかった点を持ち帰り、本人と話したうえで再び相談しても構いません。

本人が言葉で意思を伝えにくい場合

本人が言葉で希望を説明しにくい場合でも、家族の希望だけで条件を決めないようにします。
普段の表情や行動、落ち着いて過ごせる環境、拒否を示すときの反応なども、本人の意思を考える手がかりになります。

写真や短い言葉で候補を示す、実際に見学して反応を見るなど、本人に合った方法を考えます。
意思の受け取り方について迷う場合は、普段から本人と関わっている支援者にも相談しましょう。

候補のグループホームを探す方法

候補探しでは、相談先から得た情報と公的な事業所情報、各事業所の公式サイトを組み合わせます。
一つの情報だけで決めず、所在地、対象者、支援内容を見比べることがポイントです。

相談先や現在の支援者から情報を得る

市区町村や相談支援事業所には、希望地域にどのような事業所があるかを尋ねます。
通所先などの支援者にも、本人に必要な支援や通所経路を踏まえて相談してみましょう。

候補を教えてもらった場合でも、現在の空室、受け入れ条件、支援内容はグループホームへ直接確認します。
同じ共同生活援助でも、対象としている障害や職員体制、生活上のルールは事業所ごとに異なります。

障害福祉サービス等情報検索を使う

地域にある指定事業所を調べるときは、WAM NETの障害福祉サービス等情報検索を利用できます。
都道府県、所在地、法人名、事業所名などから全国の障害福祉サービス事業所を検索できる公的なシステムです。

検索するときは、サービスの種類で「共同生活援助」を選び、通所先や家族の住まいから通いやすい地域を確認します。
掲載情報だけでは現在の空室が分からないこともあるため、候補を見つけるための入口として利用してください。

制度の概要は、厚生労働省「障害福祉サービス等情報公表制度」で確認できます。

事業所の公式サイトや検索情報を比較する

事業所の公式サイトでは、住居の場所、支援方針、対象者、日中の過ごし方、問い合わせ方法などを確認します。
更新日が分からない情報や民間の検索サイトに掲載された情報は、現在も同じ内容とは限りません。

ネット上の印象だけで候補から外さず、本人に関係する条件は事業所へ問い合わせます。
空室があっても本人に必要な支援を受けられなければ、適した候補とはいえません。

見学で確認したいポイント

候補が見つかったら、空室や受け入れ条件を問い合わせて見学へ進みます。
見学では建物のきれいさだけでなく、本人の生活リズムと支援体制が合うかを確認します。

障害者グループホームの見学で確認したいポイント

職員の関わり方、夜間の支援、食事や入浴のルール、緊急時の対応など、本人の条件に関係する項目を優先して聞いてください。
詳しい質問例は、グループホーム見学で確認したいポイントで解説しています。

費用については、障害福祉サービスの利用者負担のほか、家賃、食材料費、光熱水費なども含めた毎月の合計を確認します。
障害福祉サービスの利用者負担には、所得に応じた月額上限があります。
生活保護世帯または市町村民税非課税世帯のグループホーム利用者には、家賃を対象として月額1万円を上限とする補足給付があります。

制度の概要は厚生労働省「障害者の利用者負担」、具体的な確認項目は障害者グループホームの費用相場はいくら?区分ごとの自己負担上限を解説を参考にしてください。

見学後は本人の表情や帰宅後の様子も振り返り、気になった点を相談支援専門員や事業所へ再確認します。

空きがない場合でも進められること

希望するホームに空きがなくても、探す作業をすべて止める必要はありません。
待機の扱いを確認しながら、ほかの候補や本人の条件を整理できます。

空きがない場合は、次のことを進めます。

  • 入居待ちや空室連絡を受けられるか事業所へ聞く
  • 条件に合う複数の候補を並行して探す
  • 空室がなくても見学できるか相談する
  • 地域や通所経路など、調整できる条件を見直す
  • 相談支援専門員や市区町村へ状況を伝える
  • 本人に必要な支援を改めて整理する

待機の順番や空室連絡の方法は事業所によって異なります。
申し込めば必ず順番に入居できるとは限らないため、候補ごとに確認してください。

見学後は体験利用や手続きを検討する

見学だけでは生活との相性を判断しにくい場合は、再見学や体験利用について相談します。
実施方法、利用できる時期、必要な支給決定などは、本人の状況や自治体、事業所によって異なります。

厚生労働省の共同生活援助における運営や支援に関するガイドラインでは、利用希望者が生活の場を見たり体験したりできる機会を提供することが望ましいとされています。
自宅で家族と同居している人も、体験利用の対象になり得ます。

体験利用の対象や一般的な流れは、障害者グループホームの体験利用とは?流れと違いを解説で確認してください。

障害福祉サービスとして共同生活援助を利用する場合は、市区町村へ申請し、支給決定を受けます。
支給決定後は、利用できるサービスの種類や支給量などが記載された障害福祉サービス受給者証が交付されます。

申請の過程では、市区町村からサービス等利用計画案の提出を求められる場合があります。
必要な書類や手続きは自治体や本人の状況によって異なるため、厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」と市区町村の案内を確認してください。

相談から契約、入居準備までの全体像は、障害者グループホーム入居の流れ|相談から入居までを解説で詳しく解説しています。

まとめ

障害者グループホームは、空室を探す前に、本人に必要な支援や生活環境を整理するところから始めます。
その条件を市区町村、相談支援事業所、現在の支援者へ伝え、公的な事業所情報も利用しながら候補を探します。

候補が見つかったら見学し、本人の反応や支援体制を確認してください。
空きがない場合も、複数の候補探しや条件の見直し、再相談を進められます。

最初に行うことは、現在の生活で本人や家族が支えていることと、将来心配していることを整理して相談先へ伝えることです。
その後、本人の希望を確かめながら、見学、体験利用、必要な手続きへ進みましょう。

制度の対象や手続き、必要書類、支援内容は、本人の状況や自治体、事業所によって異なります。
実際に利用を検討する場合は、市区町村の担当窓口、相談支援専門員、見学先の事業所などに確認してください。

この記事を書いた人

神無月恵太(介護福祉士)

障害者グループホーム・生活介護の現場で2016年から勤務しながら、介護・福祉分野を中心に情報発信を行っています。

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