障害者グループホームの夜間支援とは?夜勤・宿直の違いと確認ポイント

障害者グループホームへの入居を考えるとき、「夜中に体調を崩したら、すぐに職員へ相談できるのか」と不安に感じる家族は少なくありません。
ホームページに「夜間支援あり」と書かれていても、職員がどこにいるのか、夜間にどこまで対応してもらえるのかまでは見えにくいものです。

この記事では、夜勤・宿直・常時の連絡体制の違いや、夜間に行われる支援、見学時に確認したいポイントを解説します。
夜間体制の名称だけで決めず、本人に必要な支援との相性を考える材料にしてください。

障害者グループホームの夜間支援とは

障害者グループホームの夜間支援とはの図解

障害者グループホームの夜間支援を確認するときは、職員がいるかどうかだけでなく、勤務形態や実際の配置まで見ておきたいところです。
夜勤・宿直・常時の連絡体制では、職員の配置や対応できる範囲が異なります。

夜間支援は「職員がいるか」だけでは判断できない

夜間体制は、グループホームの運営形態や建物の構造、利用者数などによって異なります。
同じ「夜間職員あり」という案内でも、職員が本人と同じ建物にいる場合もあれば、複数の住居を担当している場合もあります。

私が勤務するホームでは、男性7人、女性7人が暮らしており、男女それぞれの住居に夜勤職員が1人ずつ配置されるのが基本です。
これは一つのホームでの例です。
職員の人数や担当範囲は、事業所によって異なります。

グループホーム全体の仕組みは、障害者グループホームとは?対象者・種類・支援内容を解説で解説しています。

夜勤・宿直・常時の連絡体制の違い

夜勤は、夜間を勤務時間として、巡回や必要な介助、利用者からの呼びかけへの対応などを行う勤務です。

宿直は、通常の夜勤とは勤務の性質が異なります。
労働基準法上の宿直は、労働基準監督署長の許可を受けたうえで、常態としてほとんど労働を必要としない勤務であることが前提です。
定期的な巡回や緊急の電話対応、非常事態への待機などを行います。
社会福祉施設で介助を行う場合も、少数の利用者に対する軽度かつ短時間の作業に限るとされています。

参考:岡山労働局「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」

ただし、宿直職員が実際に行う業務や対応範囲は、ホームによって異なります。

常時の連絡体制は、夜勤職員や宿直職員を配置する方法とは別に、緊急時に連絡できる仕組みや防災体制を確保する形です。
事業所によっては「オンコール」と案内されることもあります。
職員がどこで待機し、連絡後にどのような対応を受けられるのかも確認しておきましょう。

夜勤なら安心、宿直なら不十分と単純には判断できません。
本人が夜間に必要とする支援と、ホームの体制が合っているかが判断の軸になります。

夜間支援等体制加算は夜間の支援体制を評価する仕組み

夜間支援等体制加算は、グループホームが整えている夜間支援の体制を、障害福祉サービスの報酬上で評価する仕組みです。

厚生労働省の算定上、夜間支援等体制加算(Ⅰ)〜(Ⅲ)は、主に次のような体制に分けられています。

  • 夜勤職員を配置し、夜間に必要な介護などを提供できる体制
  • 宿直職員を配置し、定時の巡回や緊急時の支援を行える体制
  • 常時の連絡体制または防災体制を確保する形

ここでは、家族が違いをイメージしやすいように大まかに整理しています。
実際の算定要件は、職員の配置や対象となる利用者数などによって細かく定められています。

参考:厚生労働省「指定障害福祉サービス等の報酬算定に関する実施上の留意事項について」

最新の加算区分や単位数は、厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」で確認できます。

ただし、加算を算定しているかどうかだけでは、実際の支援内容や本人との相性までは分かりません。
細かな区分を覚えるより、本人が暮らす場所に職員がいるのか、夜間にどこまで対応してもらえるのかを確認するほうが判断しやすくなります。

障害者グループホームでは夜間にどのような支援が行われる?

障害者グループホームの夜間支援には、消灯後の巡回や緊急時対応だけでなく、就寝前の支援や翌朝への引き継ぎも含まれます。
必要な支援は、本人の生活状況や障害特性によって異なります。

就寝前から消灯後までに行われる支援

就寝前には、服薬の確認、入浴や着替え、就寝の声かけ、体調確認などが行われる場合があります。
消灯後も、眠れないときや不安が強いときの声かけ、トイレ、水分補給、体調不良への対応が必要になることがあります。

自分で就寝準備を進められる人もいれば、時間の声かけや服薬、排せつの確認が必要な人もいます。
全員に同じ支援を行うのではなく、本人に必要な内容に合わせて対応します。

利用者が眠っている静かな時間に職員がしていること

夜間は、毎晩慌ただしいわけではありません。
利用者が眠り、静かな時間が続くこともあります。

その間も職員は、必要に応じた巡回や支援記録、申し送り内容の確認、翌朝の準備などを行います。

私が勤務するホームでも、利用者が寝静まったあとは比較的落ち着いた時間になります。
何かあったときに対応できるようにしながら、夜間の様子を記録し、朝の職員へ引き継ぐ準備を進めています。

夕方から翌朝までの業務については、障害者グループホーム支援員の仕事内容と1日の流れでも詳しく解説しています。

言葉だけでなく表情や行動から変化を確認することもある

本人が体調不良を言葉で伝えにくい場合は、普段との違いが状態を確認する手がかりになります。

たとえば、次のような変化です。

  • 何度もトイレへ行く
  • いつもより居室から出てくる回数が多い
  • 普段と違う物音が続く
  • 返事や歩き方がいつもと異なる

こうした変化が、必ず体調不良を示すわけではありません。
職員がすべての変化に気づけるとも限りませんが、日頃の様子や日中の申し送りが共有されていると、夜間の状態確認に役立ちます。

夜間の体調急変や複数対応にはどう備えている?

夜間に体調変化が起きたり、複数の利用者への支援が重なったりしたときは、職員個人の対応力だけでなく、事業所の報告手順や応援体制も関係します。

見学や相談では、緊急時に誰へ連絡し、どのように応援を求める仕組みなのかまで確認しておくと、実際の流れをイメージしやすくなります。

体調急変時の基本的な対応の流れ

体調に変化が見られた場合は、まず本人の様子を確認します。
その後は事業所の手順に沿って、常勤職員や管理者などへ報告し、状況に応じて救急要請や家族への連絡を行います。

対応の順序は、症状の緊急性、本人の既往歴、あらかじめ共有されている対応方法などによって異なります。
グループホーム職員が行う状態確認や連絡と、医療職による診断や医療行為は分けて考える必要があります。

1人勤務中に複数の対応が重なることもある

1人の利用者を支援している間に、別の利用者への対応が必要になることもあります。
その場合は、本人や周囲の安全、衛生面、緊急性などを考え、すぐに対応が必要な状況を優先します。

1人勤務の場合でも、判断に迷ったときや通常の対応だけでは難しいときに、常勤職員や管理者などへ連絡できる仕組みがあるかを確認しておきたいところです。

職員側の勤務実態については、障害者グループホームの仕事はきつい?支援員の実態を解説で詳しく紹介しています。

家族への連絡基準や応援体制は事業所によって異なる

夜勤職員が家族へ直接連絡するとは限りません。

私の勤務先では、非常勤の夜勤職員が状況を確認したあと、基本的にはまず常勤職員へ報告します。

家族へ誰が連絡するのか、夜間に連絡する場合と翌朝に報告する場合をどのように分けているのかは、ホームによって異なります。

緊急時に応援職員を呼べるのか、職員が病院へ付き添う場合にホームに残る利用者を誰が支援するのかも確認しておきたい点です。

入居前に確認したい障害者グループホームの夜間体制

入居前には、夜間職員の人数だけでなく、職員のいる場所や担当範囲、緊急時の連絡方法まで確認しておきましょう。

本人に必要な支援を具体的に伝えておくと、複数のホームを比較しやすくなります。

夜間職員の人数・居場所・担当する利用者数

「夜間職員は何人ですか」と聞くだけでは、本人が暮らす場所の体制までは分からないことがあります。

見学や相談では、次のように具体的に確認してみましょう。

  • 本人が暮らす棟やフロアには、夜間職員が何人いますか。
  • 夜間職員は同じ建物内にいますか。
  • 職員1人が何人の利用者を担当しますか。
  • ほかの棟や住居も兼務していますか。

人数だけで良し悪しを決めるのではなく、本人が職員を呼ぶ方法や、職員がどこから対応に来るのかも聞いておくと、実際の距離感が見えてきます。

巡回や見守りはどのように行われるか

巡回の回数が多ければ、必ず本人に合うとは限りません。
本人によっては、頻繁な入室や声かけで眠りにくくなることもあります。

巡回の時間や方法に加えて、本人が職員を呼ぶ方法や、必要に応じて見守り方を調整できるかも聞いておきましょう。
見守りだけでなく、本人の睡眠やプライバシーにも配慮されているかが確認のポイントです。

服薬・排せつ・不眠など本人に必要な支援が受けられるか

家庭で行っている支援を具体的に伝え、ホームでも対応できるかを相談します。

服薬の確認、排せつ、夜中に目を覚ましたときの声かけ、不安が強いときの対応など、本人が困りやすい場面から整理すると伝えやすくなります。

次のような情報も、職員が本人を理解する手がかりになります。

  • 普段の就寝時間と起床時間
  • 夜間にトイレへ行く回数
  • 眠れないときに落ち着きやすい方法
  • 体調不良時に現れやすい行動
  • 服薬の時間や確認方法

すべてを整理してから相談する必要はありません。
分かる範囲で伝え、ホーム側と一緒に確認していきましょう。

見学全体の確認事項は、グループホームの見学で確認したいポイント|家族が見るべき3つの視点で紹介しています。

本人に必要な支援の整理が難しい場合は、障害者グループホームの探し方|相談先と見つけるまでの流れも参考にしてください。

緊急時の連絡先と応援職員を呼ぶ体制

緊急時は、誰が最初に本人の状態を確認し、その後に誰へ報告するのかを聞いておきます。
家族には誰から連絡があるのか、夜間に連絡する場合と翌朝に報告する場合をどのように分けているのかも確認しましょう。

応援職員を呼べる体制がある場合は、連絡後に誰がどのような形で対応するのかまで聞くと、実際の流れが見えやすくなります。

また、夜間体制を確認する際は、費用についてもあわせて聞いておきましょう。
夜間支援等体制加算を算定していても、実際の自己負担額は所得区分や月額負担上限などによって異なります。

詳しい費用の内訳や自己負担上限は、障害者グループホームの費用相場はいくら?で解説しています。

まとめ|本人に合う夜間支援を見学や相談で確認しよう

障害者グループホームの夜間体制は、夜勤・宿直・常時の連絡体制といった名称だけでは判断できません。

夜間職員の人数や居場所、見守りの方法、緊急時の連絡体制に加えて、本人に必要な支援へ対応できるかを確認することがポイントです。

まずは、就寝時間や服薬、夜間の排せつ、不安が強くなったときの様子などを、分かる範囲で整理してみましょう。

一度の見学ですべてを決める必要はありません。
ホームや相談支援専門員に確認しながら、本人の生活に合う住まいを少しずつ探していきましょう。

将来の住まいについて準備を進めたい方は、障害者の親亡き後の準備|家族が今できることも参考にしてください。

この記事を書いた人

神無月恵太(介護福祉士)

障害者グループホーム・生活介護の現場で2016年から勤務しながら、介護・福祉分野を中心に情報発信を行っています。

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